『プリンセス・トヨトミ』(万城目学)

プリンセス・トヨトミ
万城目 学
文藝春秋
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このことは誰も知らない。五月末日の木曜日、午後四時のことである。大阪が全停止した。長く閉ざされた扉を開ける“鍵”となったのは、東京から来た会計検査院の三人の調査官と、大阪の商店街に生まれ育った二人の少年少女だった―。前代未聞、驚天動地のエンターテインメント、始動。
(amazonより)


どのくらい書くとネタバレかわかりにくい話なので、あらすじはamazonからそのまま。


世界観は素晴らしかった。こういう仕掛けのディテールを考えるのって楽しいだろうなあ。個人的にはもっと凝ってほしいところだけど。
ただ、残念ながら描写にあんまり魅力を感じない。なまじミステリ読みなのがいけないのかもしれないけど、手の内が明かされすぎで、先に進みたいというモチベーションがあまりなくて読み進める手が重くなるというか。


あと、大輔と蜂須賀との対決がああいう形なのは非常に不満。事件を通して、確かに大輔は成長しただろうけど、その成果をエピソードで示してほしかったなあ。


全体的に、旭と茶子をもっと丁寧に描いてほしかったけど、主眼は父子なのでこれはまあ仕方ないのかな。


非常に珍しいことだけど、これは、だれか映像化すると小説より面白いのではないか。