『愚者のエンドロール(米澤穂信)』

愚者のエンドロール


 あるクラスが自主制作した文化祭に出展するためのミステリー映画。しかしその結末は、解決編を前に終わってしまっている。折木たちはこの映画の真相を探求することに。

 基本的な印象は『氷菓*1同様。ただ、人を動かして暗躍するキャラは個人的には好きなので前回より楽しく読めた。
 真相の着眼点は、たいていの人が違和感を持つところで「よく考えたら不思議だ」というより「だから変だっていってんじゃんもう少しおまいら考えろ」になりそうなのがちょっとなあ。
 個人的には(ネタばれ→)ホールの吹き抜けをもっと活用するとか、舞台があるなら上にキャットウォークがあったりとか(←ネタばれ)してほしかったので物足りない。それから(ネタばれ→)動機はなんかあったんだろう的な投げやり感は、ペーソスを求められるこの作品の位置からすると仕事が雑では。こういう脚本家だからこういう動機だったというのをもう少し書けるはず。(←ネタばれ)それとも枚数制限がきつかったのだろうか。

 とまあ、つっこみながら読む文には面白いといえば面白い、かも。シリーズでまた出てきそうなキャラがいるという意味では押さえてもいい作品。