『鳥類学者のファンタジア(奥泉光)』

鳥類学者のファンタジア

 描写が面白く、すさまじい波乱万丈ぶりなのにどこか主人公がのほほんとしているので、どうもじっくりと読んでしまい、ただでさえ分厚いのもあってとても時間がかかった。でもいつか時間があったらもう一度読みたいと思う。
 解説が山下洋輔だし、主人公がジャズピアニストだし、という先入観からすると、いざ第二次世界大戦下のドイツに舞台が移ってみたらそれほどジャズの話ではないのは少し残念だったが(主人公のスピリットは十分ハードバッパーなのだが)、それでも用意されている小道具は十分興味をひいてくれた。
 オプショナルツアーはメジャーどころが多すぎてちょっと鼻白まないこともなかったけれど、なんというか、気持ちはわかるので微笑ましかった。
 主人公フォギーはとても魅力的だったけど、それ以上に霧子が印象的でした。