キングオブコント2009


素晴らしい大会だった。グッジョブ。


こんなにすごいものが観られると思わなかった。本当にいい大会になったなあ。
トップを争った東京03とサンドはもちろん、ファイナリストみんな面白かった。
そして審査した芸人たちにもプライドを見せてもらった気がする。


ここんとこ体調悪かったりなんだりで、もう今更感想書いても読む人少ないかもしれないけど、自己満足ということで。長いですよ。

コントはそんなに詳しくないので、ほとんど初見。タイトルは適当です。


まず、コントのセットが前回より簡略化されたのは大変素晴らしい。
そんなに作りこまなくても、面白いコントなら大道具も小道具もお客には見えるんだよ。

超怖がりな店長と冷静すぎるバイト、そこにコンビニ強盗が現れるが…


 東京03はたまにエンタで観ていたぐらいかなあ。劇団っぽい印象が強かった。NHKの「笑・神・降・臨」で観たときは、ネタの途中でちょっと飽きちゃった覚えがある。なので、業界評価の割には期待していなかったというのが正直なところ。
 しかしトップバッターなのに何このクオリティ!今までで観た東京03の中で一番面白かった。この大会への期待でぞくぞくしてきた。
コンビニ強盗自体はかなり定番ネタで、下手をするとどこかで見たようなつまらないものになりがち。でも4分という短い時間で見せる場だと、説明に費やす時間を割愛できるメリットがあるんだね。三人のキャラがはっきりわかりやすいネタであることも素晴らしい。そして尺が絶妙。もっと長いネタを割愛したと思えない見事なバランスだった。

寿司屋(?)の店長とバイトが、それぞれ店と時給を賭けたしりとり対決。


 えー面白かったけどなあ!まさかの低得点。
 これ、ちょっと間違えたらネタが飛んで、下手したら続きが出来なくなるチャレンジングな作品だったと思う。「スイス」ぐらいで終わると思ったけど、捻るねー。
 改めて振り返ると、言葉遊びだけやっているのがマイナスだったのかな。でも何でもアリがコントなんじゃないのかと!店長とバイトの設定がしりとりとはあんまり意味なくなっていたのは確かに残念。
しかし、このネタでこの評価だとしたら、はんにゃは今の芸風だと決勝出られないかもねえ。個人的には特に問題ないけど(ないんかい)

競馬実況中、メインレースが始まる直前にじいさんアナウンサーが乱入。


 引退したアナウンサーが乱入したって設定だと思ってたのに、ただのじいさんでかなりがっかりしてしまった。個人的には全然楽しめず。
 何言ってるか聞き取れないところがあったり、同じ繰り返しで叫ぶのが内容薄い感じ。
 乗っ取られた側のツッコミにもう少しバリエーションがほしかったなあ。

  • ロッチ「カツ丼」

取調べ室。口を割らない容疑者を前にカツ丼を電話で注文する取調べ官。


今まで見たロッチのネタで一番面白かった。これも4分という尺にぴったり。職人だねえ。基本的には注文のダメさに突っ込んでいく繰り返しではあるんだけど、振り幅がどんどん大きくなるので引き込まれる。そのくせ、これまた「ちょっとでも間違えると致命的」なコント。
点数はすごく納得。

食堂で取引相手と遭遇した、ガラが悪い二人。


うーん、これもモンエンと同じく勢いだけで突っ走ってる感じがしてあまり好みではない。
というより、マイクを落としてあわあわしている様子にハラハラしてしまって、正直コントを楽しむどころじゃなかった。これは、アクシデントはもちろん不運だったけど、もうちょっとキャリアがある人ならアドリブ効かせて堂々と拾えたんだろうなあ…

  • しずる「冥土の土産」

ヤクザ同士の抗争の末ついに片方が捕まる。銃でとどめを…と、そのとき。


お得意の青春甘酸っぱいコントにヤクザという正反対の要素を加えたことで、面白さが増幅している。ある程度ネタの傾向を知られている上での戦略なら素晴らしい。全然迫力ないヤクザなのも彼ららしいし(笑)

サンドおなじみの店員と客のやつ。


 これは多分観たことがあるうえに、いつもやっている漫才と形式が一緒なので(本当はもともとコントだったことは知っていても)そこまで大爆笑は出来なかったけど、やっぱり上手いことは上手い。ネタ数がっつり突っ込んでくる手法も、他の演者にあまりそういうタイプがいなかったのもあり、手腕が光っていた。
 で、1回戦での最高点。個人的には東京03の方が面白かったけど、十分納得。
 正直なところ、サンドは吉本ではない上にM-1を既に取っていることから、審査している芸人たちからすれば、結構辛い点が出るんじゃないかなと思っていた。それが最高点。これは、芸を目の当たりにして、高得点をつけずにいられなかったということなんじゃないかと。
 サンドは凄いし、そして芸人たちも素晴らしいなあと思った。

  • インパルス「墓参り」

祖父の墓参りに来たはずが、墓を間違えたじいさんに勘違いされ…


個人的に、インパルスはツボに入ると面白いんだけど、ダメなときは全然ノレない。残念ながら今回は後者でした。あんまり見たことない気がするけど、キングオブコント用の新ネタだったのかな?
板倉が書いているせいなのか、堤下のツッコミにあんまりバリエーションがないのがいつも残念。


さて、2回戦。

お年寄り店員のコンビニにお年寄りの客が。


 これ、序盤のお菓子もじりは全然笑えなかったけど、後半仰天。面白かった!
芸幅結構広いのかもって見直しました。
 こういうサプライズオチ弱いです。ただ、2回目以降は観てもがくっと評価が下がっちゃうだろうけど。
 2本目にこれを持ってきたこと自体はよいセレクトだったのでは。

麦わらが野球部に入部。


 麦わら自体は鉄板ネタだけど、ラストは時間制約上のアレンジ?
 いつもどおりには面白かった。
 ジャルジャルは普段の水準がもっと高いと思うので、今回はなんだか残念だった。

  • インパルス「交番」

空き巣にあったと交番に駆け込むが「捜査」にやたら難色を示す警官。


 こっちはツボにはまりました。面白かった。「ソフレ」て!(こう書くと入浴剤みたい)
 終わってみると「捜査」を置き換えただけというシンプルな仕掛けなんだけど、その誤解一本でここまで話が膨らむのはさすが、キャリアが出ていた感じ。
高得点だったけど、サンドと東京03を超えはしないだろうなあ、ともう思ってしまった。
 もう一段上に行くためには、堤下に頑張ってほしいなあ。だって普段アドリブであれだけツッコめるのに。もっと出来る子なんじゃないのっ?(←何様)

リストラされたリーマン、占い師のもとへ行く。守護霊は言いたいことがいっぱい。


 うーん、なんか相性悪いのかなー。あんまり笑えなかった。シチュエーションは面白いと思うんだけど、ささった矢はもうちょっと生かしてほしかったような。

  • ロッチ「巨乳」

茶店でバイトの採用を考える店長と店員。巨乳かメガネか。


 これは完全に観たことがあった。2回戦にこれを持ってくることに一番笑った。
 ここまでの傾向からして、ある程度構成がしっかり練ってある凝ったネタが高得点を取っていたことからすると、今回は作戦が外れたって感じかな。ただ、2本中の1本でこういう乱暴なネタを持ってくるのは、芸幅を見せるチャンスでもあるのでそう悪くはなかった気もするけど。

  • しずる「卓球」

全国大会をかけた試合の直前、衝撃の告白。


 大事な局面を前にとんでもない告白をされ、詳細を聞きたいがなかなか聞けないというシチュエーション自体はコントの定番だけど、卓球というのが話の妨害の尺としてちょうどよい。ややブラックなネタなのも、1回戦とのギャップがあって面白い。
 戦略的には極めて冷静な判断が出来ているのに、雰囲気はやっぱり「甘酸っぱい」。いやー、ずるいねえ!(笑)
 ちょっと点が出すぎな気がしたけど、芸人たちも「ずるさ」に舌を巻いたのかもしれない。


あとは、一騎打ち!

久しぶりの旅行。着くなり告白、撃沈。


 このネタは、こういうネタがあるということは聞いたことがあったんだけど、それでもすっごく面白かった。4分じゃ短くてもっと観たいと思いつつ、でもこれはこれで綺麗にまとまっていたなあ。これまた三人のキャラがそれぞれ際立っていて、4分間の緩急が見事。
 もっと長い芝居を観たような満足感でした。
 すごい点出たね。
 ネタの評価もさることながら、芸人たちの「こいつらに勝ってほしい」という気持ちがにじみ出ていた気がします。
 私情を入れるな、って反感もあるかもしれないけど、完全な客観評価の審査なんて誰にも出来ないんだし、もうそれくらい、いいじゃんって思う。
 素人の顔ファンがきゃーきゃー人気投票するのとはわけが違うんだから。

サンドおなじみの店員と客のやつ。


 …と、内容メモが同じになってしまうことからもわかるように、いつも通り。
設定自体は、美容院特有の所作にバリエーションがあるから、通常の店員と客よりは面白い…はずなんだけど、なんだか伊達のツッコミがすべりまくっていた印象。さすがにプレッシャーかなー。
 及第点だけど、相変わらず「いつものやつ」なので、点が辛くなってしまうのは仕方ないのかも。
 本人たちが一番よくわかっていたようで。



というわけで優勝した東京03、おめでとう!
優勝後のインタビューで、4分に出来るネタからやるしかなくて自信がなかった、なんて言ってましたが、今回神がかっていた気がする。
前回優勝のバッファロー吾郎からすると、そんなに極端な売れ方はしないと思うけど、チケットは間違いなく取りにくくなるんだろうなあ。
今後もいい舞台ができることを祈っています。


逆に、辛酸をなめたサンドには「いつもの」以外を今後ぜひ見せてほしいなあ!なんかもっともっといろいろ出来るんでしょ本当は!


しずるの3位は意外ではあったけど、納得。若手ではトップですねえ。
池田の「完全に負け」コメントの通り、上位2組の背中はかなり遠いけれど、今後どうなるかとても楽しみになりました。


総評じみたなことを。
今回のキングオブコントは、予選段階からブログで動画まで公開したり、審査方法を見直したり、さまざまな改善が見られて誠意を感じました。直前番組もファイナリストたちの紹介をじっくりしてくれたし、途中のオロナミンCのCMも、敗れた芸人たちの熱い思いが伝わってきて、ジーンとした。
細かいことを言えば、準決勝の東京大会と大阪大会が同じ価格なのに出演数がえらい違いだったりとかあったようだけど、基本的にはいい大会にしようという関係者の気持ちを感じました。
勝戦で2回ネタをやることで、より実力がわかる構成になっているし、1回失敗してもリベンジできることは特に若手にはありがたかったと思うし、2回目は点数の低い順にやることで、ネタ見せ順の有利不利もある程度解消できたと思う。ダウンタウンが感想をはさまなくなったのは現場での判断だったみたいだけど、賢明だったね。MCやりにくかったと思うけど、その分ファイナリストたちのコントが際立った気がする。
審査員の芸人たちは真剣だったなあ。欲を言えば、全国ネットなんだからもう少し出番を有効に生かそうよ!とも思うものの、真剣に審査してくれることが最優先なので仕方ないのかも。審査する芸人以外にくだらないゲストを呼ばなかったことも個人的には大変評価している。ストイックなぐらいなのがいいなあ。


キングオブコント、来年も楽しみにしています。

M-1も面白いといいなー。

ロザンネタも書きたいことがたくさんあるんだけど、また今度ー。