『ヨーロッパ企画 第19回公演 囲むフォーメーションZ』

 先週の『サマータイムマシンブルース』同様、これも再演。

 とあるシステム研究所で起こったある騒動を、9つある部屋ごとに見せるという趣向。
 最初の部屋(廊下)で、大まかなあらすじらしきものは提示される。でも、横のドアから出入りする人々の言動は、部分的にしか聞こえないので意味不明。たとえば休憩室のドアから誰かが出入りするときに「諸葛孔明」とか聞こえてくる。どんなシチュエーションで「諸葛孔明」が発せられたのかは「休憩室」の時になればわかる…と、一つの時間を視点を変えて繰り返し見ていると全貌が明かされていくのだった。
 部屋をチェンジするタイミングで、研究所の全体像CG→今からやる部屋のCGが映像で示されるのでわかりやすい。また、わらわらといる登場人物も、名前をいちいちつけずにプログラマA〜EとかシステムエンジニアA〜Dとかで紹介され(オープニング映像にて)、作中では原則的に直接呼びあわない=見る側は覚えなくて済むのでとても楽。とはいえ、もし初めて見る人がいたら、役者を覚えてないから逆に大変だった可能性もあるか。
 で、直接は呼び合わないんだけど、プログラマたちがSEを「四天王」とか、いつも持ってることから「扇子」とか、適当にあだ名がついているのがまた上手い。


 と、フォーマットはすごく面白いんだけど、9部屋は多いよ!
 それぞれの部屋で明かされることは最低何かひとつはあるわけだけど、最後のほうになると、特に面白みのない動線が再現される割合が大きくなってくる(単に通り道だから通っている、とか)。
 そして、9回繰り返す(正確には、なにも起こらない時間は短縮されているけど)以上、繰り返される元の時間にはあまり長い時間が取れない。その結果、一番盛り上がるところが生では演じられず、映像での表現にとどまってしまった。
 6部屋ぐらいでもう少し物語を膨らませてほしかった。惜しい。
 あと、部分的に聞こえた言葉が、違う部屋で聞いたら全然違う意味だった、みたいな意外性がもう少しあったら面白かった。


 でも、あれだけ大勢キャストがいるのに、それぞれキャラが立ってるのはやっぱりすごいなあ。部屋に一人で考えているときの状態を、ホワイトボードでがんがんブレストして表現するのとかよく出来ているなあと思いました。