『古畑任三郎FINAL 第3夜「ラストダンス」』(演出:河野圭太 脚本:三谷幸喜 出演:松嶋菜々子)

 ドラマとしてはとても楽しめました。水槽のシーン(詳細後述)の美しさは非常に印象的で、なんなら劇場で見てもよかった。
 松嶋菜々子扮する双子の脚本家*1は好演だったと思います。社交的なかえでは十八番って感じだし。(つづく)
 真相の決め手に気になるところがあるのが惜しいなあ。あとエンディング演出はちょっと雑な気がしました。
 ラストらしい遊びがもう少しあってもいいような気がしましたが、王道で終わるのも古畑らしいのかもしれません。
 以下ネタばれ反転あり。


 気になった点というのは(ネタばれ→)決め手になったエントランスの生体認証ですが、真相どおりだと、セキュリティ上絶対記録が残り、あっさりわかってしまうことです。そもそも、マンションに誰が出入りしたのかは警察の捜査としては真っ先に手をつけると思うのですが。(←ネタばれ)当然これが提示された上で覆すのかと思ったのでちょっと残念でした。

 ミステリ慣れしている方々には、(ネタばれ→)双子という設定の時点で想像しやすいあの仕掛け(←ネタばれ)も、一般視聴者は気がつかない方が多数なんじゃないかなあ。私は、おおよその予想はしていたものの、殺害シーンを描かないのではないかと思っていたので、最初はアレじゃないのかと思って変に動揺したのでした。

 で、あの設定上大変なのは菜々子です。ただでさえ大変なのに、事件発生して古畑と会ってから、解決編までの間の(ネタばれ→)かえでのふりをしているもみじだが、視聴者にはまだそれが完全にばれてはいけない(←ネタばれ)あたりは大変苦しいところです。いっそもう少しボロが出たほうが面白そうだったけど、気がついてない人には解決編まで待ってもらった方がサプライズが大きいだろうし。

 水槽の真相は、手がかりとしてそれほどクローズアップすべきものではないのかもしれませんが、水槽ごしの犯人の映像が美しく、(ネタばれ→)かえでの服装をしているのにどんどんもみじに見えてくる(←ネタばれ)、過去の回想シーンを直接やるよりもリアルに伝わるすばらしいシーンでした。

 エンディングは、雰囲気にすごく合った曲をせっかく流しているのに、古畑テーマが流れてくるのが邪魔な印象でした。もうちょっと綺麗につないでほしかった。あともう少し印象的なセリフがあったらよかったなあ。贅沢なリクエストかもしれませんが。

 ところで私はCMで、菜々子と古畑が踊るシーンを見ながら、(ネタばれ?→)あのシーンで菜々子が古畑を刺し、でもなんやかんやで古畑は生きていたのであった(←ネタばれ?)みたいなのを想像していたので、何もなくて残念!

 とりあえず、やろうと思えば続きはできそうですね。何年後かに仲間由紀恵スペシャルやってほしいです。

*1:「ブルガリ三四郎」の脚本を書いているってわりとすごい設定だ。ブルガリ三四郎見てみたいよ