『実録 男性誌探訪(斎藤美奈子)』

実録 男性誌探訪

 斎藤美奈子の本にはやはり期待をしすぎてしまうのか。正直、切れ味いまひとつ。
 とはいえ、全然読んだことがない雑誌について知るのはなかなか面白いのでした。
 メンズクラブとメンズノンノの違いなんて一生知らなかっただろう。

 自分がある程度知っている雑誌になると、もうちょっと突っ込んでほしいなあと思う。ただ、この辺は雑誌の愛読者と違うところかもしれない。愛読者なら、それは誤解だとか、偏見だとか、そこがいいんじゃないかとか言うんだろうだけど、知ってたり読んでたりしてもあんまり思い入れがないので、もっときつく言ってやって!ぐらい思うことが結構あった。『日経おとなのOFF』みたいな恥ずかしい雑誌はいったいどんな人が買っているのか、とかもうちょっと突っ込んだ実態調査がほしかったなあ。

 ちょっと気になったのが、女性誌だと○○である、というたとえ。これはいかにも斎藤美奈子らしい説明なんだけど、なんかしっくりこないところが…(と、具体的に書けないのは、図書館にもう返しちゃったからなのでした)
 確か車の雑誌、あるいは他のものだったかもしれないけど、細かにスペックがどうのと書いてあるのを女性誌と比較するのに、ファッション記事が使われていたんだよね。これは絶対化粧品紹介記事が妥当だと思うんだけど。
 同じメーカーがいろんなクラスのブランドを持っていたり、機能比較したり、スペック(たとえばマスカラだったら、元のまつげに対する長さ、ダマになりにくさ、ボリューム、落ちにくさ、落としにくさとか)が時にみっしりと、時にポエトリーなメッセージを添えて提示される様は、きっと近いと思うんだけど。是非その共通点について、あるいは差異について語ってほしかった。
 あとファッション誌で、この年齢ターゲットで、こんな高い服を買えるやついるのか?みたいな話が結構あった気がするけど、それは女性誌でもそんなもんだろう。ただ歴史の長い女性誌のほうが、読者が雑誌の扱い方をわかってきてはいるのかも。

 AERASPA!とか似てそうで違う雑誌の話は面白いね。

 ということで『あほらし屋の鐘が鳴る』はいわば女性誌探訪らしいので(刊行はこちらが先)次に読むつもりです。女性誌は、ある程度把握しているのでもうちょっと具体的につっこみながら感想がかけそうです。世の中の女性がどの程度雑誌を読むのか知らないけど、雑誌好き度合いでは上位二割ぐらいには入る程度には雑誌が好きなので。
 ただ、刊行から時間が立ち過ぎているので実態とずれてきているんだろうなあ。
 この『男性誌探訪』も、LEONが出たばっかりらしくて「ちょい悪」とかに反応しすぎな気がするのでした。今やNIKITAですよ。乳間ネックレスですよ。周りで読んでいそうな人がなかなかいないけど。それはLEONもそうだけど。

 ともあれ男性誌をこんなに読むのは大変だっただろうなあと思う。お疲れ様でした。