『ラーメンズ 第12回公演 ATOM』

ラーメンズ 第12回公演 ATOM

他の作品より1本が長め。その分濃厚で、特に5番目が面白かった。映画一本見たような満足感。

上下関係:リーダー役片桐と下っ端の小林。自分がいかにすごいかをアピールする片桐のこどもっぷりがいつものように楽しい。ただ、このネタでこの長さはちょっと中弛みがある感じ。

新噺:落語で二人一役をやったり、扇子や手ぬぐいを他のものに見立てる面白さを逆手にとった掛け合いのメインも面白いのだが、そもそも小林の落語が普通に上手い*1。いつか見てみたいかも。

ATOM:30年仮死状態になり未来=現代へやってきた男(片桐)。息子(小林)に近況を聞くものの、創造していた未来との違いに不満をたれる。
確かに、21世紀にタイムスリップしてきた過去の人間はちょっとがっかりするんだろうなあ。この手の昔イメージされていた未来らしい未来ガジェットの大半は「なんだかかっこいいけどよく考えると無理にいらない」ものが多く(それ以外のものは現実になってなじんでいるから)、だからこそ最初に考えた人の想像力がすばらしいなあと思う。
で、作中ずっときになっていたことがオチですばらしい収束。このキレ味が小林だなあ。

路上のギリジン:「ギリギリギリギリギリジンジン、ギリギリギリジンジンジン」という謎めいたフレーズでどんどん歌われる路上の男の日常。
う、歌が頭を回る…。竹馬って富裕層のスポーツなのねー。

以下、5つめ6つめはタイトルを知らないほうが面白く見られそうなので、見る予定のある方は以下気をつけて読んでください。




採集:久しぶりに田舎に帰省した男が旧交を温める。のかと思いきや、なにやらおかしい。一人になると急に不安になり、悪いほうに考えまいと強がるものの、考えれば考えるほど符号は一致。怖さのあまりラッパーの才能が開花する有様。怖いのに笑える、そして本当に怖いところでも魅了してくれる、稀有なるコメディホラー?面白い。
前半の会話も、都会に出た人と田舎に残った人のよくある姿を揶揄していて面白いのだが、そこにきっちり伏線があるのが見事。

ATOMより:二人が窓から見える風景が観客にもきっと見えただろう。エレガントなエンディング。

*1:といっても本物の落語をそんなにみてないので、玄人との比較ではないけど